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経財白書 人手不足を警戒 「教育・技術で生産性向上」

経済

2018年8月3日 夕刊

 茂木敏充経済再生担当相は三日、二〇一八年度の年次経済財政報告(経済財政白書)を閣議に提出した。一二年末から約五年半に及ぶ景気回復は「戦後最長に迫る」と評価し、持続に向け、経済の実力を示す「潜在成長率」の引き上げが課題だとした。経済成長の制約となる人手不足の悪影響が一部の産業で表れていると警戒し、社会人教育や技術革新による生産性向上が重要だと説いた。 

 米国発の貿易摩擦や原油高を注意点に挙げつつも、総じて政策運営の成果を強調する内容。副題は、人工知能(AI)などのデジタル技術が浸透する未来像を示す文言を使い「今、Society(ソサエティー)5・0の経済へ」とした。

 景気回復は〇二〜〇八年の七十三カ月(六年一カ月)に次ぐ戦後二番目になった可能性が高いとし、要因に(1)世界経済の回復(2)女性や高齢者の就業促進などによる雇用・所得環境の改善(3)企業の新技術導入投資や都市再開発−を挙げた。

 近年は実質国内総生産(GDP)の伸びが潜在成長率を上回り、今の設備や労働力では需要をさばけなくなりつつあると訴えた。

 企業の人手不足感を示す指標は一九九〇年代前半以来の高さになり、運輸、建設業などで業務縮小を迫られた例が出ていると報告。AIやロボットに定型的な仕事が代替される可能性にも触れ、人材の質を高める学び直しや、柔軟な働き方を認める改革を唱えた。ITに対応できる人材育成も鍵を握るとした。

 物価は「デフレを脱却し、安定的な上昇が見込まれるまでには至っていない」とした。消費も「やや力強さに欠ける面がある」と認め、企業に一段の賃上げを促した。

 日本企業は情報通信網などのインフラや技術でリードした半面、それらを生かしたサービスの利用が遅れがちな問題点を指摘。競争力を保つ上で新技術の実用化や研究開発の国際的な連携が急がれると提言した。

 茂木氏は閣議後の記者会見で、政府として人材教育や働き方改革に取り組んでいると説明。「議論より実行の段階に入っている。しっかり実行することが大切だ」と述べた。

<経済財政白書> 内閣府が経済、財政に関する分析や今後の進路を年1回まとめる報告書。「年次経済財政報告」が正式名称。前身の経済白書は「もはや戦後ではない」(1956年度)など、時代の空気を映す名文句を残した。2001年度に現在の名称に変更。17年度の白書は労働者の生産性の低さや賃金・個人消費の伸び悩みを課題に挙げ、克服を訴えた。

 

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