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原子力委、プルトニウム削減で新指針 具体的方法・数値示さず

経済

2018年8月1日 朝刊

 国の原子力政策を審議・決定する原子力委員会(委員長=岡芳明・元早大理工学術院特任教授)は三十一日、原発の使用済み核燃料から発生するプルトニウムの利用指針を十五年ぶりに改定し、公表した。現在の保有量約四十七トンを上限と設定し、これより削減させるとした。ただし具体的な削減の方法や数値目標には言及せず、電力会社に委ねた形で、実際に削減が進むかは見通せない。

 岡委員長は具体策に踏み込まなかった理由について「民間の経営、創意工夫をできるだけ生かすため」と説明した。

 プルトニウムを大量消費する高速炉開発が滞る中、保有量削減には既存の原発で少しずつ消費するプルサーマル方式の実行しか手段がないのが現状。新指針では毎年の抽出量を政府の認可事項とし、プルサーマル方式で消費できる量に限定するとした。プルトニウムを抽出する再処理工場(青森県六ケ所村)については現計画通り二〇二一年度上期に完成しても、フル稼働するとプルトニウムが増えすぎるおそれがあるため、「稼働を抑えることもある」(原子力委事務局)としている。

 また、「電力会社間の連携を促す」と明記。プルサーマル原発の再稼働のめどが立っていない東京電力などのプルトニウムを、プルサーマル原発が再稼働している関西電力などで消費させることも想定した。

 日本は原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し再利用する核燃料サイクルを進めようとしているが、プルトニウムを使う高速増殖原型炉もんじゅは一六年に廃炉が決定。原爆六千発に相当する大量のプルトニウムを抱えていることに米中など海外からの警戒感が示されている。

◆再処理容認 矛盾の政策

 原子力委員会の新指針はプルトニウム削減を主張する一方、増加につながる再処理工場稼働を認める矛盾に満ちた内容となった。

 再処理工場を運営する日本原燃によるとフル稼働する二〇二五年度には年間八トンのプルトニウムを生産する。一方、プルサーマル原発は一基〇・五トンしか消費しないため再稼働している四基の消費分は計二トン。この結果、毎年六トンずつ増える計算。このため、同委は再処理工場の稼働を落とすことが必要と指摘する。

 だが、再処理工場の建設・運営費は電気代に託送料などで上乗せ徴収される仕組みになっており、稼働が落ちて赤字が膨らめば、さらに電気代での国民負担が増えかねない。高速炉の後継機も共同開発する予定の仏が計画を縮小、実現のメドは立たない。市民団体・原子力資料情報室の松久保肇氏は「もはや核燃料サイクルが経済的に成り立たないのは明白。撤退が筋だ」と指摘している。 (伊藤弘喜)

 

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