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米欧、関税撤廃へ協議 首脳会談合意 EU車関税は保留

経済

2018年7月26日 夕刊

25日、ワシントンで合意内容を発表するトランプ米大統領(右)とユンケル欧州委員長=AP・共同

 【ワシントン=白石亘】トランプ米大統領と欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は二十五日、ホワイトハウスで会談し、自動車分野を除く工業製品の関税撤廃などに向け、協議入りすることで合意した。協議中は米国が検討する輸入車への追加関税をEUに適用しない意向だ。

 会談では、EUが米国産の大豆や液化天然ガス(LNG)などの輸入を増やすことで一致。二〇一七年に千五百億ドル(約十七兆円)規模だった米国の対EU貿易赤字を削減し、貿易不均衡の解消につなげる。

 今後の協議では、米欧の貿易を促進するため、関税以外でも障壁をなくしたり、市場をゆがめる産業補助金を廃止することを検討する。中国を念頭に不公平な貿易慣行に対処するため、世界貿易機関(WTO)改革でも緊密に連携し、知的財産侵害などの課題に取り組む。 

 トランプ政権は六月、EU製の鉄鋼とアルミニウムに追加関税を発動。EUも米国製品に報復関税を課し、貿易摩擦が激化したが、輸入制限の対象からEUを除外することを検討する。

 トランプ氏は二十五日の共同会見で「鉄鋼・アルミ関税や報復の問題を解決する」と事態の沈静化に努めると表明。「米国とEUは非常に親密で強固な貿易関係に向け、新たな局面に入る」と述べた。ユンケル氏も「今日は取引する覚悟でここに来た。対話を進める間は互いに関税の発動は保留する」と語った。

 ただ、交渉の展開次第では、EUに対する輸入車関税の議論が再燃する恐れがある。ロイター通信によると、ドイツの産業界には「輸入車関税は完全になくなったわけではない」との警戒感が残っているという。

◆米、強気交渉 日本に試練

<解説> 欧州連合(EU)は首脳会談での合意により、トランプ米大統領から脅しをかけられてきた輸入車に追加関税を課される事態を当面回避できる見通しとなった。しかし、その代償として米国製品の購入などで譲歩を迫られた。

 目を引いたのは米国産大豆の購入だ。最大輸出先だった中国から報復関税の標的にされ、大豆農家の怒りを買ったトランプ氏。会見で、中国の代わりに大豆を買い上げてくれるEUに感謝を述べた。ただ国際的な貿易ルールを重んじるはずのEUが、トランプ氏の歓心を買うために米欧の直接取引に走った印象はぬぐえない。

 同時にトランプ氏は輸入車関税の交渉カードとしての威力に自信を深めたはずで、日本にとっては大きな試練となる。日本は近く米国との新たな枠組みでの貿易協議の初会合を開く予定。EUと同様に輸入車カードをちらつかせ、農業分野の市場開放などで厳しい要求を突きつけてくるのは避けられそうにない。

 一方、知的財産の保護などで「対中包囲網」づくりの布石を打ったのは前進と言える。日米欧の先進七カ国(G7)は最近、貿易摩擦で足並みの乱れが目立っていたが、中国による市場経済のルールに沿わない知財侵害などの改善につながる動きとして注目される。(ワシントン・白石亘)

 

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