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広がるQR決済 コンビニや飲食店 増える中国客に対応

経済

2018年7月24日 朝刊

 コンビニや飲食店などの店舗でスマートフォンを正方形の「QRコード」にかざし、買い物の支払いを済ませる決済が広がってきた。QRコード決済が普及している中国からの観光客増加に伴う変化だ。ただ「Suica(スイカ)」など電子マネー決済も増える中、利用者や店舗側の混乱も懸念されている。(吉田通夫)

 「Origami(オリガミ)」(東京)は二〇一六年にQRコードの決済サービスを始めた事業会社だ。利用者はスマホにアプリを入れてクレジットカードか銀行口座を登録。店舗でタブレット端末などに示されたQRコードをアプリで読み取り、支払いを済ませる。現在、利用できる店舗はケンタッキーフライドチキンなど約二万店ある。

 国内にはスマホを使う支払い方法として、現金を電子データの形に変えて支払うスイカや、後払い式の「iD(アイディー)」といった電子マネーがある。いずれも「FeliCa(フェリカ)」という日本独自の無線装置を搭載したスマホを、読み取り端末にかざして支払う。だがフェリカは海外のスマホではほとんど使えず、外国人観光客の需要を取り込みにくい。外国人も利用しやすいのがQRコード決済だ。

 オリガミはスマホにアプリを入れれば外国人も利用可能。中国で普及する「アリペイ」にも対応し、中国人の旅行者は新たにアプリを入れる必要がない。国内の消費者もアプリから値引きクーポンを受け取ることができるのが利点だ。

日本交通のタクシーでは、座席に設置されたタブレット端末にQRコードが表示され、客はスマートフォンで読み込んで支払う=東京都内で

◆支払い方法多すぎ 混乱も 使いやすさ普及の鍵

 QRコード決済の普及のカギは店舗側が事業者側に支払う手数料の動向だ。オリガミは決済金額の3・25%を店舗側から受け取る。店舗側は「手数料は安くしてほしい」というのが本音だ。だが電子マネーやクレジットカードを加えた「キャッシュレス(現金を使わない)決済」が広がれば、買い物客の利便性を考え、一定の手数料の支払いは許容せざるを得ない。事業者側の知恵が試される。

 オリガミなどのQRコード決済に加え、クレジットカードや電子マネーの支払いの際にも、店舗側は事業者側に決済金額の1〜5%程度の手数料を払っている。こうした中、店舗側からの手数料を当面取らない方針を打ち出したのがQRコード決済「ライン・ペイ」を導入した無料通信アプリのLINE(ライン)。普及優先を鮮明にした。

 一方、QRコード決済が広がると、消費者は支払い手段が多すぎる弊害に直面する。記者は電子マネーに加えオリガミとライン・ペイも併用。ただ訪れた店舗がどのサービスに対応しているか、どの決済を使うかで悩む。日本交通(東京)のタクシーはクレジットカード、フェリカ、オリガミに対応。男性運転手は「支払い方法によって端末の操作が違うから大変。現金が楽」と苦笑する。

 経済産業省によると、国内では現金以外での支払いが18%。中国の60%や米国の45%より低い。「人口が減る中、無人店舗化などのためキャッシュレス決済を推進する」とし、経産省は二〇二五年までに40%に高める目標を定める。普及に向け決済サービス事業者など百六十五社・団体は「キャッシュレス推進協議会」を設立。QRコードの規格統一などの話し合いを始めた。

 野村総合研究所の田中大輔上級コンサルタントは「消費者の利便性を高められるかどうかが普及に向けた鍵の一つになる」と指摘する。

 一方、ラインの出沢剛社長は先月、ライン・ペイの利用者の買い物データを「広告や金融サービスに生かす」と話した。市場調査などのため消費データを集める企業もあるが、個人情報の収集に抵抗感がある消費者は多く、普及の障壁になる可能性がある。

 

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