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「新国立」収支計画 コンサート 芝に負担

ニュース

2014年4月13日

 年間四億円もの大幅黒字を見込む新国立競技場の収支計画。その収益の柱は、年に十二日の実施を計画するコンサートだ。確かに「数千万円の収入になり、スタジアムにとってはドル箱」(スタジアム関係者)とされるが、競技場の顔である芝生に深刻なダメージを与える恐れも。計画は、絵に描いた餅になる可能性がある。 (森本智之)

 「芝は暑さや湿度に弱くて、日本での生育は難しいと言われます」。日産スタジアム(横浜市)の山口義彦緑管理課長が話す。

 コンサートでは芝の上に保護用パネルを敷き、パイプいすを並べて観客席を作る。準備も含め丸二日はパネルで覆い、この間、日光は遮られる。夏場は芝生表面の温度が五〇度に達し、芝には過酷な環境だ。

 「パネルを外すと芝が黄色く変色したり枯れていたりすることも。コンサート直後の芝は重病人のようなものです」。開催が集中した昨夏、アイドルグループ「ももいろクローバーZ」のコンサートでは、芝生を守るため芝生外に観客席を設け、話題になった。

 「『経営改善にはコンサートを呼ぶこと』と言われるが、芝への負担が大き過ぎる。サッカーなどに影響を及ぼさないようスケジュールの合間に組む」(エディオンスタジアム広島を所有する広島市の担当者)。芝を保つため、実施回数はおのずと制限される。

 二〇一二年度実績で日産は四日、味の素スタジアム(東京都調布市)は三日。埼玉スタジアム(さいたま市)は、芝を守るためコンサートはしない。地方ではコンサート誘致が難しいという事情もあり、ゼロのスタジアムが多い。

 新競技場は、騒音・降雨対策を講じコンサート回数を増やそうと、開閉式屋根を設ける予定。これも芝への悪影響が心配される。

 開閉式屋根のある大分銀行ドームは、〇九年にサッカー日本代表の試合が予定されていたが、直前に会場変更された。芝の状態が悪かったためだ。

 屋根があるため日照が限られる上、風通しも悪く「夏場は蒸し風呂のよう」(大分県の担当者)。今はグラウンドに大型扇風機を並べて人工的に風の流れを作っている。同様に開閉屋根を持つ、豊田スタジアムは年二回、芝生を張り替え、そのたびに数千万円の費用がかかる。

 大分の場合は〇一年の開設以降、屋根の故障が十二回も発生した。昨年十一月には屋根が閉じなくなり、約五カ月たった今も開けっ放しのまま。県は四億五千万円をかけ、全面改修をしている。担当者は「こんなにトラブルが続くとは想像できなかった」と話す。

 

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