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高さ緩和前提で募集  新国立デザイン 「70メートルまで可能」

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2013年12月31日

ザハ・ハディドさんの作品のイメージ図。聖徳記念絵画館(右手前)の奥に巨大な競技場が見える。後に2割ほど縮小されたが、この図などを基に選考が行われた

 二〇二〇年東京五輪のメーン会場となる新国立競技場(東京都新宿区)建設をめぐり、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)が、デザインコンペの募集要項で、当時の都の高さ制限の倍以上高い建物を認めていたことが分かった。規制側の都も、計画案を話し合う有識者会議で副知事が「見直しは可能」と発言していたことが判明。緩和ありきで計画が進められた様子が浮かび上がった。 (森本智之)

 JSCは一二年七月から新競技場のデザインコンペを開催。要項に「高さに関する制限」として、最高で七十メートルと明記した。一方、建設地は明治神宮外苑の景観が百年近く保存されている風致地区にあり、一九七〇年に制定された都条例により十五メートルの高さ制限がかかっていた。

 条例制定前に建てられた現競技場を建て替えるため、現競技場の最高地点の高さ三十メートルまでは建設可能だが、要項の記載はその二・三倍の高さだった。

 条例に反するにもかかわらず、募集要項に高さ七十メートルと記載された背景には、都側の積極姿勢があった。

 本紙が情報公開請求で入手した有識者会議の議事録によると、議論は当初から高さ制限を緩める方向で進行。委員だった石原慎太郎知事(当時)の代理で一二年七月の第二回会議に出席した秋山俊行副知事は「都市計画についてきちんと対応していかなければいけない。もちろん権限上、都市計画の見直しが可能」「(地元に)説明する詳細な計画を既に作っております」と発言し、緩和に前向きの姿勢を示した。

 コンペの結果、同年十一月、英国の建築家ザハ・ハディドさんのデザインに決まると、JSCは都に対し風致地区の建築制限緩和を提案。都は約一カ月で競技場周辺の高さ制限を十五メートルから七十五メートルへと大幅緩和する地区計画を策定した。計画は都市計画審議会の審査を経て、今年六月に正式に決定された。

 秋山氏は「過去の例から見て都市計画の変更に大きな問題はないだろうという見込みはあったが、最初から結論ありきだったわけではない」と説明。計画を事前に作成した理由を「都営霞ケ丘アパートの皆さんも影響を受けるので、早い段階で事情を説明する必要があった」と話した。

 都土地利用計画課の飯泉洋課長は「JSCから事業提案を受けた段階で、内容の是非を総合的に検討し、高さ制限を緩和してもこの地域の風致を侵す計画にはならないと判断した。五輪のためなら何をしてもいいとは思っていない」と話した。

 <新国立競技場> 現競技場は老朽化が進み、五輪会場の基準を満たさない。このため現在の敷地を拡張して建て替えることが決まった。当初計画では延べ床面積29万平方メートル。後に見直したが、それでも8万人の観客席を備え、2012年ロンドン五輪のメーン会場の倍の22万5000平方メートルある特大サイズ。最大3000億円に膨らんだ総工費は1699億円となる見通し。15年秋の着工、19年春の完成を見込む。

 

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