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JSCビル「地区計画」趣旨に逆行 高さ制限緩和「抜け道」指摘も

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2014年1月6日

 二〇二〇年東京五輪の主会場となる新国立競技場の建設計画に便乗する形で、新競技場よりも高い建物を建てる独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)。長く景観が保たれている風致地区にある明治神宮外苑に巨大な新競技場や高層ビルの建設を可能にしたのは、「地区計画制度」という都市計画法上の仕組みだった。だが地区計画は本来、無秩序な開発を防ぐための制度。「趣旨に逆行する」との指摘がある。 

 地区計画制度では、地域にふさわしい街づくりを進めるため、住民の意向を踏まえた自治体が独自に建築物の規模や形のルールを作れる。もともと乱開発などを防ぎ、一体的な整備を進める目的で導入された。

 よく知られているのは、東京・銀座のケース。東京都中央区は二〇〇六年、建築物の高さを五十六メートル以下に厳格に規制するよう地区計画を変更した。当時、銀座通り沿いの松坂屋が百九十メートルの高層ビルへの建て替えを計画。「銀ブラ」で知られる落ち着いた街をつくってきた地元民らが異議を唱えたのが発端だった。地区計画が歯止めとなり、建て替え計画は見直された。

 今回は、新競技場予定地の地権者であるJSCの提案により、都が地区計画を作成。高さや容積率を銀座とは逆に緩和した。

 歴史的建築物の保存を進める京都工芸繊維大の松隈洋教授は「同じように、制度の趣旨を逆手に取ったようなケースは他にも起きている」と批判する。

 巨匠・前川国男が設計した京都会館(京都市、一九六〇年)は、京都市が建て替えを計画。周辺の景観を守るために自ら課していた十五メートルの高さ制限を、地区計画で三十一メートルに緩和。住民らは反対運動を続けているが、二〇一六年完成に向け、計画は着々と進む。

 松隈氏は「地区計画は住民の意向を反映させることできめ細かい街づくりを進められる意味がある。しかし双方のケースでは地権者は住民でなく、市や独立行政法人といった組織。自ら作った規制の枠組みをすり抜けるように、抜け道的に使われている側面がある」と指摘する。 (森本智之)

 

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