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「新国立」有識者の議事録 景観置き去り 巨大化ありき

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2013年12月31日

デザインコンペの募集要項に記された新国立競技場の配置条件図。中央付近の「h=70m」は70メートルの高さ制限を示している

 「招致を成功させるには競技場が重要だ」「メーンスタジアムは東京二〇二〇年計画の中心。IOC(国際オリンピック委員会)の最後の票に結び付いてくる」。巨大さが問題となっている新国立競技場。その建設計画を話し合った有識者会議の議事録は、五輪招致に向け、施設の拡充に前のめりな意見であふれる。百年近く保たれてきた明治神宮外苑の美観への影響を検討した形跡はなかった。(森本智之)

 会議は佐藤禎一・元文部次官をトップに、政界、スポーツ界などの十四人で構成。これまでに四回開かれた。入手した議事録は二〇一二年三月の初回、国際コンペ直前に開かれた同七月の第二回、英国の建築家ザハ・ハディドさんのデザインに決定した同十一月の第三回の計三回分。個人名などは黒塗りだが、議論はたどれる。

 議事録によると、初回の議論で既に「八万人がスタートライン」「全天候型のスタジアムも必要か検討する」などと、新競技場の骨格部分が示され、当初から規模が大きくなるという想定だった。

 その後も「ホスピタリティー機能の充実を」「(コンサート利用のために)専用の音響調整、照明設備が必要」などと各委員から要望が相次いだ。「日本が再生していくための起爆剤」「ブロードウェーを超える地域開発になれば」といった発言もあった。

 こうした各委員の要望を積み重ねる形でどんどん規模が膨らみ、ロンドン五輪のメーン会場の三倍、延べ床面積二十九万平方メートルもある特大サイズ(後に約二十二万五千平方メートルに縮小)の施設の概要が固まっていった。

 ハディドさんの案は「日本を元気づけるデザイン」「日本の技術力を世界にアピールする」などと称賛され、巨大さや複雑な構造を持つことがむしろ高く評価されていた。

 建築制限緩和は「スケジュールがタイト」「早期の検討が必要」と課題に挙げられたものの、委員たちの間で景観に与える影響の検討はなく、緩和ありきで話が進んでいた。

 新競技場建設の事業主体で、有識者会議を設置した日本スポーツ振興センターの河野一郎理事長は「有識者会議の下部組織にはワーキンググループも設置してあり、景観への影響もきちんと検討している。その上で、景観上も問題ないと判断した」と説明している。

 

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