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沖縄と朝鮮半島

私説・論説室から

2018年8月22日

 七月二十七日に翁長雄志(おながたけし)沖縄県知事が開いた最後の記者会見の言葉が、まだ耳に残っている。翁長氏は八月八日に死去した。

 痩せ細った翁長氏は、北朝鮮の非核化と緊張緩和に向けた努力が続いていると指摘。そして、思いがけない大きな声でこう述べた。

 「そんな中、二十年以上前に決まった辺野古(へのこ)新基地建設を強引に進める政府の姿勢は容認できない。平和を求める大きな流れに(日本は)取り残されているのではないか」

 沖縄と朝鮮半島は深い関係がある。朝鮮戦争(一九五〇〜五三年)で例外的に結成された朝鮮国連軍の後方基地が三カ所残る。

 朝鮮有事の際には、この基地に米軍を中心とした兵士や軍用機が集結したに違いない。

 沖縄に駐留する海兵隊は、有事の際、在韓米国人の救援に当たるのが任務の一つだ。

 もともとは岐阜と山梨にあった部隊が一九五六年に沖縄に集約された。

 日本本土での米軍基地への反発が強まったため、「目につかない場所」として、当時まだ米国統治下の沖縄が選ばれたとされる。

 安倍晋三首相は、先日の戦没者追悼式で、「戦後わが国は、平和を重んじる国として、ひたすら歩んできた」と語った。

 北東アジアで平和が実現すれば、根本的な沖縄の負担軽減につながる可能性があるが、安倍首相は自ら努力しているか。翁長氏はそう言いたかったに違いない。 (五味洋治)

 

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