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生きがい持つ素晴らしさ

私説・論説室から

2018年6月18日

 グランドシニアゴルフ選手権という競技がある。七十歳以上のアマチュアのゴルファーが対象で、各地区予選の上位者が全国大会にこまを進める。

 その中で激戦区とされる関東大会の決勝が五月三十一日、六月一日の二日間にわたって神奈川県のレイクウッド・ゴルフクラブで行われ、七十二歳の北原弘さんが昨年に続いて優勝した。二日間のトータルスコアは2アンダーという立派なものだった。

 四十歳代で大腸がんの手術を受けた北原さんは、人工肛門を装着している。手術を受けた時は「絶対にゴルフを再びできる体に戻す」の一念で、入院中も病院の階段を上り下りすることを繰り返した。退院してからは自宅マンションの階段を十階まで一日十往復するノルマを、自らに課してきたという。

 決勝にはプロ野球大洋ホエールズ(現横浜DeNAベイスターズ)のエース投手だった平松政次さんら往年の一流アスリートも出場していた。だが一介の勤め人だった北原さんには降参だった。これはこれで痛快だ。

 大きな病気になったり、障害を抱えたり、高齢を迎えた人たちにとって、最も大切なのは生きがいを見つけることだ。スポーツでも地域社会への取り組みでもいい。一人一人が人生の価値や意味を見いだし、それを周囲が応援することの素晴らしさを、北原さんから学んだ。 (鈴木遍理)

 

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