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議事録は削除するな!

私説・論説室から

2018年3月26日

 国会の議事録から、発言を削除する事態が相次いでいる。渡辺美樹自民党参院議員は過労死遺族の前で「週休七日が幸せなのか」、和田政宗同党参院議員は「森友学園」をめぐる文書改ざん問題で、太田充財務省理財局長に「安倍政権を陥れるために意図的に答弁しているのではないか」と述べた。とても適切とは言えず、議事録からの削除が決まった。

 不適切発言を消し去りたい気持ちは分からなくはないが、発言した事実も重い。与野党一致とはいえ、簡単に削除していいのか。

 思い出すのは一月に亡くなった野中広務元自民党幹事長の発言だ。米軍用地を強制使用するための特別措置法改正にあたり「再び国会の審議が大政翼賛会のような形にならないよう若い皆さんにお願いしたい」などと述べたが、不規則発言として削除された。

 さかのぼれば、後に首相を務めた中曽根康弘氏が日ソ共同宣言の賛成討論で「涙をのんで賛成する」などと述べたことに野党側が反発し、演説全文が削除された例がある。

 昨今の議員とは同列には論じられないが、いずれも日本政治史における貴重な発言だ。議事録に残っていないのは残念でならない。

 そこで提案。国会での発言は不適切でも削除せず、その部分と理由を追記して残すことにしたらどうか。議事録から削除できず、歴史の検証にさらされると自覚すれば、不適切発言も減ると思うのだが。 (豊田洋一)

 

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