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やっかいな「家父長的意識」

私説・論説室から

2018年3月12日

 歓送迎会で市長が口をつけたコップで酒を飲むように強要された−。女性職員の被害相談からセクハラ疑惑が浮上した東京都狛江市の高橋都彦(くにひこ)市長。議会質問や本紙取材に「強要していない。異性への関心ではない」と疑惑は否定しつつ、一方で「家父長的な意識」で職員に接していたことを認めた。市長は親で、職員を子(娘)のようにみる。この家父長的な意識こそが問題ではないのか。

 相手を対等ではなく、時に所有物のようにみるこの意識はとてもやっかいなもの。パワハラやDVなど差別的な暴力の根っこに潜んでいる。セクハラの本質も優位な立場に乗じて、服従させようとする暴力だ。

 疑惑は、被害情報をつかんだ共産党市議団が、職員課が聞き取った複数職員の被害相談記録を開示請求したことに始まる。「勤務中に自席に電話があり酒席に誘われた」「胸を触られた」。加害者名は黒塗りだったが、文面から市長とみられる。議会で追及された市長は疑惑を否定し、記録の真偽を調べるよう担当に命じたという。だが市の最高権力者である市長が加害を疑われる一件だ。調査は第三者機関に委ねるのが常識ではないのか。

 真実の解明は今後のこととしても、市長が自らの「家父長的意識」を語ったことですでに、女性職員を自分のもののようにみる差別的な意識を持っていたことを白状したようなもの。市長たる資格はない。 (佐藤直子)

 

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