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偽装大国

私説・論説室から

2018年3月5日

 中国に「李克強指数」なる経済指標がある。李首相が遼寧省幹部だった二〇〇七年、秘密裏の会談メモが暴露されて広まった。

 「遼寧省の国内総生産(GDP)成長率など信頼できません。経済状況を把握するには鉄道貨物輸送量、銀行融資残高、電力消費量の推移を見ている」−。以来、これら三つが有用な経済指標として定着した。

 当時、日本の政府関係者は「やはり中国のGDP統計は鉛筆をなめなめつくっているのか」としたり顔で話していたものである。

 ところがどうだ。働き方改革における裁量労働制のデータ捏造(ねつぞう)疑惑は政権の屋台骨を揺るがす大問題である。首相は「やり直し」を指示したが、もはや信用されることはあるまい。都合のいい数字だけを持ち出して結論を誘導する手法は国民にもう見え見えである。

 財政の健全化目標の試算は、実態とかけ離れた超楽観的な成長見通しを平気で使う。民間なら粉飾と糾弾されよう。伊勢志摩サミットでは唐突に数枚のグラフを配り、「リーマン・ショック前と似た状況」と財政出動の必要性を訴え、各国首脳をのけぞらせた。

 公文書管理のずさんさ、官僚の忖度(そんたく)、お友達への便宜疑惑など行政のゆがみが目立つ。名だたる大企業で品質偽装が相次いでいる。

 国が壊れ、どんどん落ちぶれていくようだ。「国難」を叫ぶ人こそが、「国難」の中心にあるように思えてならない。 (久原穏)

 

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