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座間事件起訴 SOSの聞き手はいる

社説

2018年9月12日

 もしも、もしもだけれど「死にたい」と思う若者がいたら、この社説を読んでください。インターネット上にも、あなたの周りにもSOSを受け止めてくれる相手はいます。ひとりぼっちじゃない。

 「自殺したい」とツイッターに書き込んだ若者など九人を神奈川県座間市のアパートに招き入れ、殺害したとされる白石隆浩被告(27)が強盗殺人などの罪で起訴されたのを受けて、この一文を書いています。

 十代、二十代の皆さんが抱える苦悩の深さを知り、多くの人が衝撃を受けました。行き場のない、助けてほしいという思い。「若い世代の自殺は深刻な状況にある」。今年公表された厚生労働省の自殺対策白書にも、心配する気持ちが記されています。十五〜三十四歳の死因の一位が自殺だったのは先進七カ国のなかでは日本だけで、他の国は事故だそうです。つらい統計です。

 皆さんが、電話よりも会員制交流サイト(SNS)などネット上でのコミュニケーションに親しみを感じているようなので、民間団体や国、地方自治体などはLINE(ライン)などでの相談窓口の充実に取り組み始めています。

 厚労省のホームページでは、若い女性の支援を行うNPO法人BONDプロジェクトのライン相談窓口や、ネットで自殺に関連する言葉を検索した人を相談窓口に誘導する活動をしているNPO法人OVAなどの取り組みを知ることができます。

 顔が見える空間で、周囲の人がどうかかわれば良いかも、共有する努力がされています。注目されているのは「TALK」の原則。食事が取れていなかったり、ミスが増えたりの傾向が見られたときに、「心配してるけど、何かあったの」などと話しかけ(Tell、Ask)、つらい気持ちに耳を傾け(Listen)、必要な場合は法律や行政、医療の窓口につなぐ(Keep safe)−といった寄り添い方です。

 各地で増えている「子ども食堂」のような世代を超えたあらたな地域のつながりも、一つの気持ちの行き場として、力を発揮してくれると良いなと願ったりもします。

 事件後の昨年十一月九日の社説は「ネットに『命の門番』を」と見出しで書きました。あらためて呼び掛けようと思います。若者のSOSの宛先を増やしていこう。話し相手になろう。ネット上でも実社会でも。

 

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