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北朝鮮70年 非核化が経済再生の道

社説

2018年9月11日

 予想以上の穏やかさだったと言ってもいいだろう。北朝鮮が九日に行った建国七十年の式典では、挑発的な行動や発言が目立たなかった。停滞している非核化交渉の糸口として生かしたい。

 北朝鮮は国家の記念日にしばしば大々的な式典を開く。今年二月八日の朝鮮人民軍創建七十年式典では、大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」などを登場させ、武力を誇示している。

 金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は、六月の米朝首脳会談以降、朝鮮半島の完全な非核化に取り組む姿勢を繰り返し表明している。

 このため、九日の式典の「変化」に注目が集まったが、ICBMは登場せず、軍事パレードの生中継、正恩氏の演説もなかった。

 非核化をめぐる米国との対話を続けるというシグナルとして受け取りたい。トランプ大統領がさっそく歓迎したのも当然だろう。

 米朝間の高官協議は不透明感を増している。北朝鮮が強く求める朝鮮戦争の終戦宣言と、非核化への具体的な措置のどちらを先行させるかで対立しているからだ。

 米国は、北朝鮮の強硬姿勢の背景には中国がいると警戒を強めており、ポンペオ国務長官の訪朝を急きょ中止した。

 そんな中、正恩氏は五日、韓国の特使団に「トランプ氏の最初の大統領任期中に非核化を実現したい」と期限を初めて明示し、協議仕切り直しへの意欲を示した。 

 だが、これだけでは不十分だ。より具体的な非核化の日程、内容を明らかにするべきだ。米国側も、終戦宣言を出す時期について、柔軟に対応してほしい。

 北朝鮮は、韓国より一カ月遅れた一九四八年九月に建国された。体制維持のため経済を犠牲にし、核兵器開発に膨大な国費をつぎ込むという、ゆがんだ歴史を歩んだ。国際的な批判を浴び、孤立も深まるばかりだった。

 今年四月、北朝鮮は核開発と経済建設を同時に進める「並進路線」が役割を終えたと発表した。そして社会主義経済建設に総力を集中する新たな方針を、ようやく表明している。

 核にこだわる限り、経済の再生、発展は望めない。そのことは、最近、北朝鮮の各地で熱心に経済視察を重ねている正恩氏自身が、一番分かっているはずだ。

 今月十八日からは文在寅(ムンジェイン)韓国大統領が訪朝し、文政権で三回目となる南北首脳会談が行われる。この場で、さらに踏み込んだ非核化の計画を示してほしい。

 

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