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スルガ銀の不正 地域金融の原点に返れ

社説

2018年9月8日

 スルガ銀行の不正融資で明るみに出たのは、本来の地域金融の使命を忘れ目先の収益確保に走る歪(ゆが)んだ姿だ。超低金利で厳しい経営環境が続く地銀では不祥事が相次ぐ。いま一度原点に返るべきだ。

 預金残高を改ざんしての不正融資(スルガ銀)、算定根拠が不明な融資手数料の受け取り(東日本銀)、長期間にわたる書類の偽造(みちのく銀)…。

 最近明らかになった不正は形態こそさまざまだが、共通するのは収益を優先するあまりガバナンス(企業統治)が著しく欠如している点だ。

 株主や金融庁から業績改善への圧力が強まっているのは確かだが、そうだとしても目指す経営の方向が間違っている。

 業績が厳しいのは確かだ。地銀は大手行に比べて営業エリアも狭く、収益源はおのずと限られる。

 金融庁の調べでは、二〇一八年三月期決算で地銀百六行のうち、半数以上の五十四行で本業の利益が赤字だった。このうち四十行は赤字が三期以上連続している。

 そんな中で、スルガ銀は他行が及び腰な外国人や女性向けも含め、リスクをとった個人融資に活路を見いだし高収益を上げた。

 だが、今回問題となった首都圏のシェアハウスをめぐる融資では、金融機関としてあるまじき行為があったことが第三者委員会によって明かされた。

 不正融資につながった書類偽装は行内で蔓延(まんえん)し、執行役員一人が直接関与したのをはじめ相当数の社員が関わっていた。会長、社長が不正を直接知り得た証拠はないとはいえ、取締役としての善管注意義務違反を認めた。

 要するに、過度な業績目標を課しながら、ガバナンスがまったく機能していなかったと断じたのである。

 一連の不正融資の被害者の中には、欲にかまけて投資話にのったというよりは、少ない年金など将来不安から蓄財に走った若者らもいた。弱みにつけ込み、モラルも銀行としての社会的使命も忘れたかと指弾されても仕方あるまい。

 スルガ銀を模範とたたえていた金融庁の監督責任も問われよう。地銀は低金利に加え人口減も逆風となっているが、地域経済を支え、住民にとってはかけがえのない存在である。

 収益を上げれば模範、不正があれば断罪、といった極端な評価はふさわしくない。雨の日に傘を貸すような地味でも社会的使命を確実に果たすよう後押しすべきだ。

 

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