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猛暑も電力余力 節電、融通、再エネで

社説

2018年9月4日

 エアコンを夜通し動かしておかないと、命が危うい猛暑の夏−。それでも電気は足りていた。3・11の教訓を生かした賢い省エネ、そして電力融通の基盤整備が、エネルギー社会の未来を切り開く。

 七月二十三日。埼玉県熊谷市で国内観測史上最高の四一・一度を記録した猛暑の中の猛暑の日。東京都内でも史上初めて四〇度の大台を超えた。

 冷房の使用もうなぎ上り。午後二時から三時にかけての電力需要も、この夏一番の五千六百五十三万キロワットを記録した。

 それでも最大需要に対する供給余力(予備率)は7・7%。“危険水域”とされる3%までには十分な余裕があった。

 その日中部電力管内でも3・11後最大の二千六百七万キロワットに上ったが、12・0%の余力があった。

 東電も中電も、震災後に原発は止まったままだ。この余裕はどこから来るのだろうか。

 最大の功労者は省エネだ。計画停電を経験した3・11の教訓を受け止めて、家庭でも工場でも、一般的な節電が当たり前になっている。これが余力の源だ。

 そして、再生可能エネルギーの普及が予想以上に原発の穴を埋めている。猛暑の夏は太陽光発電にとっては好条件とも言えるのだ。

 むしろ最大のピンチに立たされたのは、昨年から今年にかけて四基の原発を再稼働させた関西電力ではなかったか。

 七月十八日。火力発電所のトラブルなどが重なって供給率が低下し、予備率3%を割り込む恐れがあったため、電力自由化を見越して三年前に発足した「電力広域的運営推進機関」を仲立ちとして、東電や中電、北陸電力などから今夏初、計百万キロワットの「電力融通」を受けた。

 3・11直後、東日本と西日本では電気の周波数が違うため、融通し合うのは難しいとされていた。だが、やればできるのだ。

 震災当時百万キロワットだった周波数変換能力は現在百二十万キロワット。近い将来、最大三百万キロワットに増強される計画だ。

 北東北では、送電網の大幅な拡充計画が進行中。地域に豊富な再生可能エネルギーの受け入れを増やすためという。

 地域独占からネットワークへ、集中から調整へ、原発から再エネへ−。電力需給の進化は静かに、しかし着実に加速しているのではないか。

 猛暑の夏に、エネルギー社会の近未来を垣間見た。

 

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