XMenu

膨張する予算 法律で縛ったらどうか

社説

2018年9月3日

 来年度当初予算案の概算要求は五年連続で百兆円を超え、過去最大を更新した。危機感なき借金まみれ予算をいつまで続けるのか。自ら抑制できないのなら、法律をつくって縛るしかないだろう。

 財政健全化の国際公約だった「二〇二〇年度までの基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)の黒字化目標」を六月に断念した直後の予算編成である。

 当然、厳しい概算要求基準を設けるかと思いきや、今回も歳出上限の設定を見送るなど相変わらずの締まりのなさだ。

 PB黒字化を実現できなかったのは経済成長率を甘く設定したためだ。成長頼みが通用しないのは明白なのに、いまだ政権が「経済再生なくして財政健全化なし」を基本方針とするのは危機感がなさすぎると言わざるを得ない。

 毎年繰り返される手法も問題がある。今回も、人づくり革命など政権が掲げる主要政策に優先的に予算を配分する「特別枠」を設け、一八年度より約一割増の四・四兆円に積み増した。

 歳出にメリハリを付けるのが特別枠の狙いというが、実態は各省庁が便乗して似たような要求を並べ、かえってメリハリを失っていると批判された。この手法がはたして政策効果を上げているのかどうか検証すべきだ。

 概算要求とは別枠で、一九年十月からの消費税増税の影響を和らげるための経済対策の予算も組む。自民党から十兆円規模を求める声がある。

 8%から10%に引き上げると税収増は五兆円程度だ。これでは右手で増税し、左手では税収増の倍の額をバラまくようなものだ。一体、何のための増税か分からない。来年は参院選や統一地方選があり、歳出圧力は例年になく強い。査定する財務省は不祥事が響いて弱体化しているのでなおさら心配だ。

 財政健全化が官僚や政治家任せでは進まないのであれば、法律で強制力を持たせるしかないのではないか。かつては、米国の包括財政調整法(OBRA)などにならい、財政健全化の具体策を盛り込んだ財政構造改革法を定めたこともある(一九九七年)。

 金融危機など日本経済が不況に直面して凍結されはしたが、欧州連合(EU)をはじめ多くの国・地域が法制度によって財政健全化に努めている。

 先進国で最悪の借金を抱え、少子高齢化が最も深刻な日本も再導入を検討すべきだ。 

 

この記事を印刷する