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沖縄県知事選 辺野古の是非を語れ

社説

2018年8月31日

 沖縄県知事選は、九月三十日の投票まで一カ月を切った。国政の与野党それぞれが推す候補が激突する構図。翁長雄志知事が最期まで問い掛けた辺野古新基地の是非を正面から論争してほしい。

 翁長氏を支えた「オール沖縄」勢力が擁立する自由党幹事長の玉城(たまき)デニー衆院議員(沖縄3区)は二十九日、立候補を表明し、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設について「翁長知事の遺志を引き継ぎ、新基地建設阻止を貫徹する」と明言した。

 これに対し、自民、公明両党などの支援を受け既に出馬表明した佐喜真淳(さきまあつし)前宜野湾市長は「街のど真ん中にある(普天間)飛行場を一刻も早く返すことが(政策の)原点」と語り、辺野古の賛否を明らかにしていない。前回の自主投票から佐喜真氏推薦に回る公明党との政策協定でも触れなかった。

 賛否の分かれる問題について語ろうとしないのは、二月の名護市長選で、基地反対派の現職を破った自公陣営の戦術と同じだ。

 これにならって「争点隠し」を得策と考えているのだとすれば、あまりにも無責任ではないか。

 沖縄県知事は、公有水面埋立法に基づき、辺野古新基地建設に伴う沿岸埋め立ての認可権を持つ。

 仲井真弘多(なかいまひろかず)前知事が二〇一三年に埋め立てを承認したが、翁長氏は死去前、国の工事の進め方に不備があるとして承認の「撤回」を表明。県はきょうにも決定する。

 誰が知事に就いても直面せざるを得ない問題であり、玉城氏は撤回を「全面的に支持」する意向を表している。佐喜真氏も対応を明らかにするのは当然だろう。

 県政には、経済活性化や子どもの貧困対策など、基地以外の課題が多いのも事実だ。だが政府は、これらを後押しする沖縄関係予算を知事の辺野古への賛否によって加減してきた。翁長県政では削減を続け、安倍晋三首相は翁長氏とまともに会おうともしなかった。

 理不尽なやり方で県民の中に対立と分断を持ち込んでいるのは政府側であり、これに従うのか、敢然と声を上げるかは、沖縄のみならず日本の民主主義と地方自治の根幹に関わる問題だ。

 辺野古新基地建設地では、軟弱な海底地盤や極めて危険な活断層の存在も判明した。日本周辺の安全保障情勢も変化する中、移設計画自体、抜本的な見直しが必要な段階に来ているのではないか。

 沖縄の矛盾を巡る真摯(しんし)な論争を抜きに、沖縄の未来は開けない。

 

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