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米高官訪朝中止 非核化へ対話継続図れ

社説

2018年8月28日

 唐突ではあった。ポンペオ米国務長官が訪朝を発表しながら直後に中止した。外交の信頼性を失わせかねないが、無論、対話を続けるため北朝鮮も、より積極的に非核化に応じねばならない。

 異例の展開だった。ポンペオ長官が、四回目の北朝鮮訪問を発表してからわずか一日後、こんどはトランプ米大統領が自身のツイッターで、訪朝中止を発表した。

 朝鮮半島非核化で、十分な進展がないことを理由に挙げ、関係国を戸惑わせている。

 外交日程の突然の変更は、六月十二日の米朝首脳会談前にもあった。この時は北朝鮮側からの呼びかけで会談が実現している。

 今回の訪朝中止がトランプ流の駆け引きなのか、当面、北朝鮮との協議を中断するという意味なのか明確ではないが、このままでは交渉停滞のおそれもある。

 大きな問題は、北朝鮮側にある。金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長は、四月と六月の南北、米朝首脳会談で全面的な非核化への意思を繰り返し表明した。

 これまで進めてきた核開発活動と核施設などを明記した核リストを公開し、廃棄することだ。

 北朝鮮が具体的な動きを見せれば、韓国や米国、中国は現在休戦中の朝鮮戦争について「終戦宣言」を出し、北朝鮮の体制保証につなげることを検討していた。

 北朝鮮は確かに一部の核、ミサイル関連施設を爆破、解体したが、核兵器製造と濃縮ウランの生産を続けているとの報道が相次いでいる。表と裏でこう違っては、非核化への本気度が疑われよう。

 交渉停滞の背景に中国の存在も指摘される。習近平国家主席は来月九日の北朝鮮の建国記念行事に参加すると伝えられ、蜜月関係を築いている。トランプ氏は、中国が非核化のプロセスに以前ほど協力的でないと批判している。

 米中貿易摩擦にからみ、中国が意図的にブレーキをかけているとすれば、許されない。

 そんな中、文在寅(ムンジェイン)韓国大統領が九月中旬に訪朝する。南北関係の進展だけを図るべきではない。

 まずは北朝鮮の真意を探り、米国との対話が継続されるよう、「仲介者」としての役割を粘り強く果たさなくてはならない。

 北東アジアでせっかく生まれた対話ムードの中で、日本の役割が見えない。安倍政権は終戦宣言を先行させることに批判的だが、非核化の成果をあげるため知恵を出し、行動してほしい。

 

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