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補助犬法15年 なぜ、まだ拒否するの

社説

2017年10月6日

 身体障害者補助犬法の施行から十五年。盲導犬や聴導犬、介助犬と暮らす障害者の自立と社会参加を後押ししようと定められた。だが、残念ながら受け入れ拒否が絶えない。理解をもっと広げたい。

 不特定の多くの人々が利用する交通機関や飲食店、ホテル、病院といった公共性の高い場所に補助犬の受け入れを義務づけている。二〇〇二年十月から施行された。

 一定規模以上の事業所は、補助犬同伴での勤務を拒めないとの規定も途中で入った。

 補助犬は盲導犬のほか、聴導犬、介助犬の三種類。聴導犬は呼び鈴や電話、警報機など多様な音色を聞き分け、聴覚障害者に知らせ、誘導する。介助犬は指示された物を持ってきたり、脱衣を手伝ったりと肢体不自由者を支える。

 そうした重要な使命と役割を担っているのに、まるでペットのように拒絶される事例が相次ぐ。

 例えば、昨年三月には、金沢市のタクシー運転手が盲導犬を連れた男性の乗車を拒んだ。車内が汚れると思ったという。国土交通省は道路運送法の引き受け義務違反で、タクシー会社に行政処分を出したが、ほんの一例にすぎない。

 二年前、NPO法人日本補助犬情報センター(横浜市)が尋ねたら、法律を説明しても同伴を拒否された経験があると答えた人は四十七人中三十一人、66%に上った。障害者の暮らしの手段という意識がまだまだ乏しいようだ。

 とはいえ、昨年四月から施行された障害者差別解消法は、補助犬の同伴を理由にサービスを拒否したり、制限したりすることを差別として禁じた。もはや人権の問題として捉え直さねばならない。

 国によれば、四月現在、盲導犬は九百五十頭、聴導犬は七十五頭、介助犬は七十一頭を数えた。十年前に比べ、盲導犬はほぼ横ばいだが、聴導犬は六倍、介助犬は二倍に増え、需要が伸びている。

 補助犬は福祉サービスとして無償で貸与されるが、一頭の育成に三百万〜五百万円程度かかるという。育成団体は多くを寄付金に頼っていると聞く。安定供給に向け、公的支援を厚くしたい。

 補助犬の使用者は、胴輪などにその旨を表示し、認定証と公衆衛生上の安全性を示す健康管理手帳を携帯し、求められたら提示せねばならない。周りに迷惑を掛けないよう重い責任を負っている。

 東京五輪・パラリンピックには、世界各国から補助犬が来日するに違いない。快く受け入れることができる社会でありたい。

 

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